BECについて - くまきち
2009/12/15 (Tue) 10:18:17
クローラーにおいて、外部BECユニットや、ESC2基構成というスタイルは、珍しくないのですが、その際、ESCの+線を何故、カットする必要があるのか意味がわからない、
また構成が複雑化した際に、どこでどうカットするべきなのか、よくわからないというケースが、散見されることがあります。
そこで、一度この件について、ご説明させていただいておいたほうが良いかと思います。
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右の図は、標準的な、1サーボ/1ESC/1モーター構成における、BEC電源供給の流れです。
バッテリーの電源は、ESCに内蔵されたDCDCコンバータを解して、5Vないし6Vに電圧を変換し、ESC内部の制御電源を供給すると同時に、ここから受信機に供給されます。
供給された電源は、受信機自体でも使われると同時に、並列に全チャンネルに供給され、サーボでも使われます。
ESC内臓のDCDCコンバータは、通常はそれほど大きなパワーを出せないので、サーボがものすごい電気を使いすぎることになると、サーボがパワーを発揮できなかったり、最悪の場合は全部の電源が落ちてしまうのです。
(続く)
Re: BECについて - くまきち
2009/12/15 (Tue) 10:40:27
こういった現象に対処するため、より大きなパワーを出せるDCDCコンバータを、ESCとは別に、外付けする、という事は、よく行われています。
右の図は、外付けのDCDCコンバータを使用する際の系統図です。
この場合、ESCの+線をカットするようにと、普通は言われていますね。それは何故なのかと申しますと…
DCDCコンバータというのは、半導体技術を応用して、電圧を変換する機器で、産業用にも広く使われているものですが、これを並列に使用することに関しては、いろいろと問題もあるのです。
2台のDCDCコンバータ間で電圧が異なっている場合、電圧の低いほうのコンバータに対して、電気が逆流をするのです。
機器としては、こういう現象は本来あってはならないもので、最悪の場合は機器を損傷する可能性があります。
もしも2台が、まったく同一の電圧を出力できるとすれば、逆流現象は起こらない筈なのですが、機器内部で電圧を細切れにしていじくり回してるためか、全くトラブルが起こらないとは、限らないのです。
この問題は以前から知られているのですが、実際のところ…
“同期整流回路を並列接続した場合, ダイオード整流回路の場合と異なり電力の逆流による電流ストレス, 異常振動, 過大電圧ストレス等の問題が起こる. しかし, これらの現象についてはまだ十分報告されておらず解明もされていない”
と書いてある論文がある程度です。
実際、DCDCコンバータの機種によっては、メーカーが“本製品は並列運転はできません”としているものもあるのです。
恐らく、RCメカ用の機器では、普通は並列運転について想定していないのではないかと思われます。
こういった経緯から、DCDCコンバータの並列運転は問題があるので、どちらかの出力をカット
…即ち、“+線をカット”するようにと、指定があるのです。(続く)
Re: BECについて - くまきち
2009/12/15 (Tue) 10:51:54
昨今では、MOA車が普及し、2ESC構成の車体も多くなって来たことから、この問題は更に複雑化しています。
右の図は、2ESC/信号線DIGを想定した系統図です。格段に配線が複雑化していることが伺えます。
前述のように、本来ESCには、BEC電源供給用のDCDCコンバータが内蔵されています。
もし、2台のESCの+線を接続してしまった場合…
外部BECの場合と同じように、これら2台のDCDCコンバータを並列に接続することには、問題を孕んでいるのです。
ただ、“必ずしも問題が出る訳では無い”という事が、話をややこしくしており、人によって問題は無いという場合と、問題が出る場合があるのです。
この場合は、不用なトラブルを回避するためにも、図のように双方の+線をカットしておく方が、ベターと言えます。(続く)
Re: BECについて - くまきち
2009/12/15 (Tue) 11:24:12
最後に、もうひとつ、外部BECを使用しなくても、電源不足の問題を生じない、“裏技”的な事例を紹介します。
右図のように、サーボに行く電源を、通常は受信機から供給するところ、それをやめ、バッテリーコネクターから直に供給してしまう方法があります。
通常のRC用サーボは、動作電圧が4.8から6Vになることを前提に設計されていますので、こういった事はできないのですが、ロボット用サーボには、8Vとか9Vくらいまで対応したものがあり、その電圧範囲内のバッテリーを使用するのであれば、こういった構成が可能になります。
また、廉価クローラー用サーボとしておなじみの“MG945/MG946”シリーズは、何故か8V程度まで対応しており、この構成が可能になっています。
もしも…
BEC5V出力程度の標準的なESCを使って、MG946をドライブしているものに対し、この構成を応用すれば、
電流の制約が大幅になくなり、モーターがトルクを発揮しやすくなるばかりでなく、電圧が1.48倍になることで、モーター回転数も1.48倍(KV値は一定なので)近くになり、動作速度が大幅に向上することになります。
(終わり)
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参考として、これまでにわかっている、各社ESCのBEC電源容量の一例を紹介しておきます。
テキン・FX-R …DC6V/3A
RCトラックス・クローラESC …DC5V/1A
オプションNo.1・クローラーED …DC5V/1.5A
エンルート・A9 …DC?V/2A
ノバック・ルースター …DC?V/5A
キャッスルクリエイション・サイドワインダー…DC?V/1.5A程度?
Re: BECについて - 坊主
2009/12/15 (Tue) 16:15:28
理屈は何となくわかっていたつもりでも、もやもやしたところがあったのですが、図で見ると本当によくわかりますね!解説ありがとうございます。
※1については、私も「必要ないよなぁ・・・」とは思っていましたが、どうなんでしょうね。CCBECを使っていますが、説明書にはプラスだけ外すように書いてありますので、外していません。
DC-DCコンバーターについては、逆流する可能性があり危険である、ということが良くわかりました。自宅に帰ったら、すぐに前後アンプのプラスを切ります(--;)。
うちのCR-01は、MG946Rをステアリングとディグに使用していますので、直接バッテリーからプラスを取るように変更してみたいと思います。
そうすれば、もうちょっとシャキシャキ動くようになりますかねぇ(^^;)